会社員や役員の方の給与所得の考え方と税金や確定申告用紙A
会社員や会社役員の方の所得は、給与所得がメインの所得となります。
そこで今回は、会社員や会社役員の方で、配当所得や不動産所得など給与以外の所得が無い方が、
確定申告をされる際の税務知識の紹介として、給与所得の確定申告を取り上げたいと思います。
これらの方は確定申告書用紙A を使うことになります。
給与所得とはどのように計算するのか
給与所得の金額は、次のように計算します。
A 収入金額 (源泉徴収される前の金額) - B 給与所得控除額 = C 給与所得の金額
(A) 収入金額
収入金額には、金銭で支給されるもののほか、給与支払者から受けた次のような経済的利益も含まれます。
イ 商品などを無償又は低い価額で譲り受けたことによる経済的利益
ロ 土地や建物などを無償又は低い使用料で借り受けたことによる経済的利益
ハ お金を無利息又は低い利息で借り受けたことによる経済的利益
これらの経済的利益を現物給与といいますが、簡単にいうと現金以外で受けたメリットのことです。
所得税の課税上金銭とは異なった特別の取扱いが定められています。
(B) 給与所得控除
会社員や会社役員などの給与所得では、自営業者の事業所得などのように実際の領収書や請求書を基に計算した
必要経費を差し引くことができない代わりに、所得税法で定めた各給与水準ごとに決められている
概算の経費である給与所得控除額を給与等の収入金額から差し引きます。
< 関連ページ→ 国税庁の給与所得控除と説明と自動計算システム >
このように給与の額面金額である給与収入から概算の経費である給与所得控除を差し引いて、
利益である給与所得を計算することになります。
給与所得者で実際の経費が多い場合の特例:特定支出控除
給与所得者が次の1から6の特定支出をした場合で、
その年の特定支出の額の合計額が、給与所得控除の金額の1/2を超えるときは、
確定申告により、【 その超える部分の金額 】を 給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度があります。
(注意:平成28年前は別の算式にて計算します。上記は平成28年以降の場合の計算式です)
【 この規定が適用できるのは、 以下の特定支出に限られています 】1 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出 (通勤費)
2 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出 (転居費)
3 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出 (研修費)
4 職務に直接必要な資格を取得するための支出 (資格取得費)
※平成25年分以後は、弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も特定支出の対象となります。
5 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出 (帰宅旅費)
6 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、
その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)
(1) 書席、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
(2) 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
(3) 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出
給与所得に関する税額の計算方法
給与所得は、その支払の際に所得税が源泉徴収されていますが、
原則として、その他の所得、例えば不動産所得などと合計して総所得金額を算出し、
確定申告により税額を計算することとなります。
しかし、他に所得がない場合、勤務先において行われる源泉所得税の精算、
いわゆる年末調整によって確定申告を行う必要がなくなります。
(関連記事: 年末調整とは?年調のやり方や源泉徴収票の作成方法と作成代行 )
なお、給与の年間収入が2千万円を超える人など年末調整の対象とならない人は確定申告が必要になります。
また、年末調整で精算できない寄付金控除や医療費控除などの適用を受ける方も、
確定申告によって還付を受けることになります。
このように会社員の方の給与所得は、収入は会社からの源泉徴収票で確定し、
経費は概算経費を用いられる方が多いので比較的簡単に計算することができます。
医療費控除や寄付金控除などを受けるために確定申告をご自身でされる際に少しでもお役にたてれば幸いです。
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