資産移転など事業承継へ法人化や法人成りの活用
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今回は、会社にすることで個人資産にはどのようなメリットがあるかについてまとめてみました。
個人資産が守られる法人化・法人成りのメリット
個人事業主の場合は、個人の負債も事業から生じた負債も法的には同じくくりです。
しかし、法人化・法人成りして会社を作った場合、商品の仕入費用や借金で支払いが滞ったとしても、それは会社責任で役員個人に責任は及びません。
株主も同様、出資した範囲内に責任がとどまるので、法的に個人に返済義務は生じません。
(ただし、連帯保証がついた場合は除きます。)
不動産の賃貸借や金融機関からの借り入れは、社長個人の連帯保証を条件に会社として契約させられることがほとんどです。
このようなケースは、個人事業主のままでも、法人化したとしても個人としての返済義務は同じです。
つまり、【 個人資産 】と【 会社資産 】を切り分けるため、連帯保証が一つのポイントになるのです。また、法人化・法人成りすると、個人名義で借りた借金は会社名義に変更するよう金融機関から促されますが、税務調査は、この借入の返済が手続きをしないと、社長へ賞与とみなされる場合もあり注意です。
事業継承のための相続対策としての法人化や法人成り
個人事業を営む場合、事業主が死亡すると、プライベート用の預金口座も事業用の預金口座も個人名義であればすべて凍結されてしまいます。
遺産分割が決定されるまで通帳からお金を引き出すことができないのです。
凍結された預金は、得意先からの入金も仕、入先へ支払いもできなくなります。
そして商売の契約条項も全て引き継いだ人の名義で再度契約し直さなければならないため、大変な手間がかかります。
これに対し、会社財産は会社に所有権があるので、預金口座も凍結されず入金や支払が滞ることなく、会社の代表者を決定し登記すればよく、契約などは代表者の変更だけで済みます。
相続に関しては、個人事業主の場合には、事業用であろうとプライベートであろうと保有しているすべての財産が相続の対象となりますが、
会社を保有している方の場合は、プライベートな財産の他は会社株式のみが対象です。
では、株式評価はどうされるのでしょうか。
比較的小さな会社の場合は、会社の資産と負債を亡くなられた時の時価によって算した差引純資産額で評価の純資産価額方式を、
大きな会社の場合は、自分たちの業種と同じ商売の上場企業株価を参考に評価する類似業種比準方式を
中位の会社は純資産価額方式・類似業種比準方式を併用して株価を評価します。
純資産価額方式の場合は相続税対策で、純資産が低くなるような施策も可能です。純資産価額方式と類似業種比準方式では、後者のほうが評価額が低くなる傾向があります。
生命保険では、個人契約で500万円を超えた保険は相続税の対象となります。
一方会社契約し、会社受取人の保険金はそもそも相続税の対象とはなりません。
保険金が支払われる時、過去10年の赤字があると、
保険金収入と相殺することもできるのです。
つまり税金がほとんど出ない事もあり得るのです。
また、会社が受け取った保険金を死亡退職金として遺族へ支給することができます。
この死亡退職金は個人の保険金と同じく、
同居人一人当たり500万円までが非課税です。
これらをまとめると、会社財産の方が、いろいろと節税方法が多く便利ということです。
事業の売買が容易であるメリット
事業主に後継者がいない場合や、違う事業を始めたい場合など、事業を売却するケースがあります。
企業価値は会計上の純資産だけではなく、売上高や将来性、創立からの年数や地域シェア、商品ブランド価値など総合的に判断します。
個人事業は、事業主自身が商売そのものに対し、会社は社長の個人的技術や手腕を卓越し、集団としての価値を評価されます。
この集団としての価値を売買できるところに会社のメリットがあります。
個人事業を買い取った場合には、新規に事業を起こすのと同じ労力が必要となりますが、会社の売買は発行している株式の売買により、容易に事業自体を引き継ぐことができるのです。
こうした理由からM&Aを行うのは、ほとんど会社組織というわけで、事業承継においてM&Aの手法も選択に加わるのが会社形態のメリットです。
会社にすると得られる信用のメリット
初めて取引をする相手からは、個人事業より会社の方が信用を得やすいでしょう。
なぜ信用されるか、それは登記されるからです。つまり、誰もがいつでも会社重要事項を閲覧でき、居場所を確認することができるからです。
大手企業は保守的ですからリスクをとることを嫌がる傾向があり、個人と仕事しない事もあります。
金融機関から借入れをする際や、返済する必要のない助成金を獲得する際にも、この信用により有利に話を進めることができます。
また、求人でも個人事業より会社の方が福利厚生で安心を与え、優秀な人材を確保しやすいです。
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執筆者・文責 税理士 水野智史
#資産移転法人化 #事業承継法人化